快適をデザインする

最近、仕事でザッポスという会社のことを調べる機会があって、
「ザッポスの奇跡」という本を読みました。

ザッポスの奇跡(改訂版)?アマゾンが屈した史上最強の新経営戦略?

ザッポスの奇跡(改訂版)?アマゾンが屈した史上最強の新経営戦略?

どんな会社なのかはこの本を読んでもらうとして…
僕は、この本の中で紹介されていたCEOトニーシェイの言葉
「成功するから幸せなのではなくて、幸せだから成功する」
ってのが妙に印象に残りました。
すでに読んでから1ヶ月くらい立つのだけど、この言葉が不思議と頭を離れません。



確かに、日々の生活が充実していて、人とのつながりの中で
ある種の幸せを感じられる環境にあるからこそ、
何か新しいことにチャレンジしてみるモチベーションがあがったり、
新しいアイデアを思いつくチャンスが増えたりすることはありそうです。
要するに、ベースとしての心の余裕って大事だよね、という。



とにかくハングリー精神で頑張る、という方向で成功をつかむパターンもあるけど、
確かに、ベースの幸せはあった方がいいし、ベース幸せだから思いつくアイデアもある。



では、どうしたら、日々の幸せ作ることができるのか?
最近は、そんな、簡単だけどなかなかむずかしいことを考えていました。



⇒で、結局は快適な環境を自らつくり出していくことしかない、
というシンプルな答えにいきつきました(笑)



今流行のライフハックじゃないけれど、
"快適"をデザインするための手法や知見をどんどんと学んでいくことで、
生活のクオリティを漸次的に上げていくことが重要だということです。



では、快適をデザインするにはどうすればいいか?
なんとなく漠然としているので、
僕なりに快適のデザインを要素分解してみました。



・"スマート"のデザイン⇒仕事とか、やらないといけないことの効率することで得られる快適
・"カンフォタブル"のデザイン⇒運動して汗を流すとかそういうことで得られる快適
・"エンジョイ"のデザイン⇒ゲームをやってる時などに得られる楽しいという快適
・"リラックス"のデザイン⇒カフェとかでゆっくりしている時に得られる快適
・"インサイト"のデザイン⇒アイデアを思いついた時の幸せがもたらす快適
・"リスペクト"のデザイン⇒ソーシャル的なつながりの中で得られる相互承認がもたらす快適



ざっとこんな感じです。
それぞれの要素に対して、いろいろなメソッドや知見がありそうです。
それらを体系的に整理すれば、相当快適な生活がおくれるようになるはず(?)



今の日本は、物的にはすでに満たされているけれど、
その前提の上で、さらに快適をデザインしていくための知見やメソッドが
必要とされていくだろうなと思います。



実際、快適は、そのままお金で買えないわけで、
何らか工夫をしたり、ちょっとした努力を要するし、
逆にお金がそんなになくても工夫すれば快適は得られます。



また、快適を得るためのプロセスとしては、
大文字の夢みたいなものに向かって、
「今は辛いけどいつかは…」と思いながら走っていくのとは違って、
まずは生活のディテイルにこだわって小さな改変を繰り返していく中で、
少しずつサイクルをよくしていく的なアプローチに変わってきているように思います。
(いい、悪いは別として。今は大きなヴィジョンが描きにくいので、
小さな改変の積み重ねにした方がコスト感覚に合っているように思うのです)



プログラム開発のたとえで言えば、ウォーターフロント型の夢の実現ではなくて、
日常との折り合いの中で少しずつ幸せを感じながら夢に近づくアジャイル的なアプローチ。



大きな物語を壮大に生きていくのではなくて、
スーパーマリオの"面"じゃないけれど、小さなゴールを細かく設定する中で、
少しずつレベルやヴァージョンを上げていき、今自分のいる場所を確認しながら進むことができる感覚。



iPhoneのOSのバージョンアップを楽しむユーザが感じる幸せを
イメージしてもらえればわかるけど、
僕の考える快適のデザインは、要するに
iPhoneのOSバージョンアップ的なもの、というか、
少しずつ良くなっていく生活に対して人が感じる幸せを生み出す方法を、
デザインの言語でフレーム化、メソッド化したものです。



今は、ITの浸透で、便利ツールはたくさん出てきてるし
(実際、僕はevernotedropboxがないとすでに生きていけない(笑))、
ソーシャルメディアで個と個がつながって新しいワークスタイルも出てきているし、
ゲーミフィケーションで、人が熱中する(フロー状態になる)ための
メソッドも精緻化してきているし、
「モチベーション3.0」や「オープンリーダーシップ」なんて本が
ビジネスの世界では絶賛されていたりして、
そんな中、快適をどうデザインしていくかは非常に重要なファクターになってくると思います。



実際、快適のメソッドが普及することで、
苦しんでいた人が楽になったり、イノベーションが起こったりする。



また、そのメソッドをフレーム化することで、
マーケティングコンサルティングなどにも使えるようになる。
教育にも適用できそうだし。
快適化コンサルティングって結構市場もありそうだし。



そんなことを、最近は考えていました。
何か新しいことを始めたいなと思う季節が来たみたいです。